対処すべき課題

当社グループでは、「Mimaki V10」の達成に向けて対処すべき課題は以下のとおりと認識して、取り組んでまいります。




デジタルオンデマンド・プリントソリューションの提供

当社が開発型企業として持続的な成長を実現するためには、SDGsで定められた持続可能な開発目標への貢献という社会的な要請はもちろん、個々のお客様の困りごとやニーズに的確に対応する必要があります。また、コロナ禍の長期化に伴い、市場ニーズや顧客志向は急激に変化しています。加えて、Eコマースの浸透に伴い、消費者は好きなものを、好きな時に、好きなだけ利用する「オンデマンド」供給への要求が益々強まり、多様なニーズに対応できるビジネスモデルの構築が求められています。このような環境変化に的確に対応し、持続的な成長を果たすためには、当社グループが所有する競争優位性の高い独自技術を基盤とした製品、ソフトウエア、サービスの提供に加え、今後ますます進展するデジタルトランスフォーメーション(バリューチェーンを含めて新たな付加価値につながるデジタル化)を、中期的な観点から成長ドライバとして取り込んだうえで、産業用印刷市場におけるデジタルオンデマンド・プリントソリューションの提供を進めてまいります。具体的には、当社グループは、産業用印刷市場で必要とされる「プリントだけでなくその前・後工程の処理装置も含めた幅広い製品ラインナップ」と「充実した機能性インク」のほか、当市場を開拓する過程で蓄積してきた「問題解決のノウハウ提供力」を保有しております。とりわけ、当社のFA事業では、プリント対象物の前処理/前加工や、プリント作業後の後処理/後加工に適した製品の開発・生産能力を有しています。このFA事業を自ら保有する優位性を最大限発揮するとともに、蓄積した有形・無形の資産を源泉とし、プリントに必要となる製品、ソフトウエア、ノウハウ等のご提供を通じて、お客様が制作する成果物の品質までをサポートする取り組みを進めています。また、プリント工程の自動化による省人化・無人化等のノウハウを安定して提供し、お客様の制作プロセスの変革支援や企業資源計画の策定支援につなげる提案を、積極的に行ってまいります。このように、産業印刷における前工程・プリント・後工程までの一貫システムによる、デジタルオンデマンド・プリントのトータルソリューションを提供するソリューションプロバイダーとしての役割を果たし、市場のニーズに的確に対応すべく、特に以下の2領域にフォーカスして取り組んでまいります。

(1) デジタルプリントのIoT
5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが開始され、当社が手掛けているSG(サイングラフィックス)市場、IP(インダストリアルプロダクツ)市場、TA(テキスタイル・アパレル)市場等の産業用インクジェットプリンタ事業の可能性が、大きく広がります。これらの市場に向け、当社が保有するデジタルプリントの前処理装置、プリンタ、インク、カッティングプロッタ、後処理装置、ワークフローソフトまでを含めた幅広い製品ラインナップと、プリント成果物制作プロセスの構築ノウハウを基盤に、プリント工程の自動化による省人化・無人化といった、デジタルプリントのIoTを推進してまいります。
また、SG市場やIP市場で使用される機能性インクは、従来主流であった有機溶剤系インクから、環境負荷が低く生産性が高いUV硬化型インクへの転換が始まっており、同インクは向こう数年間で市場規模が大幅に増加すると見込まれています。当社は、UV硬化型インクの開発とそれを使用するインクジェットプリンタの開発にいち早く取り組むとともに、当社が保有するUVプリンタ特許技術の活用など、業界での競争優位性を確保しています。
今後は、これらの優位性を生かし、産業用印刷市場に対してデジタルプリントのIoTとUV硬化型インクを含めた高い生産性を実現するトータルソリューションを提供し、マーケットリーダーとしての地位を確実なものとしてまいります。

(2) 3Dプリント事業
IP領域における3Dプリントビジネスにおいては、2017年に発売したUV硬化インクジェット方式で1,000万色のフルカラー造形を世界で初めて実現した3DUJ-553を皮切りに、2021年にはその小型化を実現したエントリーモデル3DUJ-2207を発売する等、着実に製品ラインナップの拡大を進めてまいりました。今後も、お客様の多様なニーズにお応えする製品ラインナップのさらなる拡充に取り組むとともに、フルカラーによる3D造形の市場成長を加速させるなど、多様な用途やアプリケーションの提案等に取り組み、3Dプリントを当社の事業の柱として育成してまいります。




インク品質のさらなる向上

当社グループにおいて、競争力の源泉である機能性インクの品質安定・向上は最重要課題であります。そのため、機能性インクの開発工程の見直しに取り組んでまいります。具体的には、設計評価・サービス評価・営業評価における基準を明確化して評価項目を見直してまいります。また、製造現場においてもインクの材料単位での品質チェック強化などにより、製品品質を高めてまいります。加えて、市場での品質問題発生時の情報早期フィードバックや見える化により、迅速な対応を実現してまいります。以上の取り組みにより、インク品質のさらなる向上による競争力強化を図ってまいります。




生産・物流体制の改善

当社グループにおいて、グローバルなお客様が求める商品・サービスを最適なタイミングで効率的にご提供するとともに、コロナ禍の影響による物流コストの上昇や関税の引き上げ等への適切な対応により、売上、利益、キャッシュ・フローの最大化を図ることは重要な経営課題です。そのために、グローバルでの需要変動に柔軟に対応できるよう、販売、物流、生産・調達などの各機能を密接に連携させ、週次での生産管理を実現する体制整備に加え、製品ごとに最適な生産地で生産して効率的かつ機動的な物流・在庫マネジメントを実現するサプライチェーンの再構築をプロジェクト体制で進め、コスト競争力の確保及び適正在庫の実現に取り組んでまいります。




研究・開発体制の強化

当社グループはコロナ禍影響の長期化に伴う市場ニーズや顧客志向の変化を見据え、製品開発でイノベーションを起こし、新規市場・新規アプリケーションの開拓に取り組んでまいります。具体的には、今までの開発計画を全面的に見直し、新しい市場向けのプライオリティを上げる取り組みとして、販売している製品の25%以上が3年以内に開発した製品とすることや、効率的な研究・開発体制のもとで優れた製品をタイムリーに市場投入するため、要求機能に対し、あらかじめ準備された製品・ユニット・部・技術情報より適切なものを選び、組合せにより新しい製品を開発するモジュール開発により、売上高の拡大と同時にSKU=在庫の削減につなげること等に取り組んでまいります。また、基盤となる製品プラットフォームを横展開して、短期間で効率的に新製品を投入する開発プロセスを確立し、開発サイクルの短縮化を進めてまいります。




CX(コーポレート・トランスフォーメーション)

当社グループは「Mimaki V10」で定めた目標を達成するために、会社の構造そのものの変革に取り組んでまいります。具体的には、固定費の圧縮と事業体質の筋肉質化に向け、固定費の投入を押さえつつ、RPAを導入して仕事の棚卸と自動化・AI化を進めてまいります。また、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮を通じて資金効率を向上させ、財務体質を強化するとともに、フリーキャッシュ・フローの最大化に取り組んでまいります。さらには、グローバルマネジメント体制の強化が重要課題であると認識し、子会社管理の強化、基幹システムや会計システム、人事制度等のグローバルな見直しと管理強化に取り組んでまいります。加えて、為替リスクの低減に向けた施策にも取り組んでまいります。




営業体制の変革

当社グループはグローバルなお客様の多様なニーズにお応えするため、国内営業拠点及び海外販売子会社において、個々の地域特性に合致した販売戦略のもとで、新規ユーザーの開拓、製品の用途提案、製品導入後のアフターフォローや迅速な保守サービスの提供等、地域密着型の営業活動を推進し、顧客満足度の向上に努めてまいります。また、コロナ禍影響による顧客接点の変化に対応するため、従来の営業手法の革新に取り組んでまいります。具体的には、従来取り組んできたリアルな場でのミニ展示会によるチャネル・顧客との商談から、Webを通じたバーチャルミニ展の展開によりお客様へのご提案や商談などを実施するとともに、新たなチャネル・顧客接点として製品/市場/販売ノウハウ/導入事例等をお伝えする「Mimaki Global Innovation Days」を、Webを通じて春・秋の年2回開催いたします。加えて、前期に組織化したインサイドセールス機能の強化を通じ、SFAやCRMを活用した営業分析により既存・見込客への営業活動状況を記録・管理して顧客接点を拡大するなど、ITの進化を活用した営業活動のオンライン化にも、積極的に取り組んでまいります。また、新規顧客へ向けての販売チャネルにつきましても、従来のSG市場向け主体のチャネルの強化・拡大に加え、IP市場や3D市場に適したチャネルの開拓・構築を進めてまいります。




内部統制・コンプライアンスの徹底

企業の社会的責任として、内部統制及びコンプライアンスに徹底して取り組んでまいります。関係法令・規則の遵守はもとより、お客様の情報管理等に対するセキュリティーポリシーを確立し、役職員一人ひとりの高い倫理観の醸成、社会的良識を持った責任ある行動を目指して社内教育を行ってまいります。また、反社会的勢力との関係に対しては、断固とした対応で臨むことにより一切の関係を遮断し、コンプライアンスに則った経営を行ってまいります。




リスクマネジメントへの取組み

近年の事業環境下では、想定を上回る規模の自然災害や感染症の発生等により事業継続計画(BCP)の重要性が増しております。大規模な自然災害が発生した場合でも、被害を最小限にとどめ、復旧までの時間を最小限におさえて業務を継続できるよう、業務インフラ、緊急時連絡体制、本社屋をはじめとする各設備の見直しを行ってまいります。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のようなパンデミックの発生に際しては社会全体での取り組みが必要となりますが、当社グループとしても、役職員を始め、地域やステークホルダーの皆様の安全確保と感染症拡大抑止を最優先に、適切な対策を検討・実施してまいります。




SDGsへの取組み

2015年9月に「国連持続可能な開発サミット」において、人間及び地球の繁栄のための行動計画として「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」が掲げられました。当社グループもこの目標に賛同し、さまざまな社会問題に真摯に向き合うとともに、事業を通じて社会や環境に良い影響をもたらすことで、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。特に、気候変動などの地球環境問題への対応も重要な経営課題として捉え、とりわけ産業印刷市場においては環境や資源への負荷の高い従来のアナログ印刷主体の産業構造から、デジタル化によるオンデマンドプリントに転換させることにより環境負荷を大幅に低減できることから、今後の製品開発を含む事業活動において環境に配慮した製品展開を推進するなど、積極的に取り組んでまいります。


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